【完】淡い雪 キミと僕と
20.大輝『淡い雪 美麗と俺と』

20.大輝『淡い雪 美麗と俺と』




…全くなんだと言うのだ。ムカつくな。

先日1か月の北海道出張が終わり、雪の降り落ちる北海道から東京へ帰って来るとすっかりと桜が咲いていた。

そして美麗が25歳になった。ガラス工房で作った手作りの指輪はギャグのつもりだった。誕生日プレゼントとして、どこでも好きなブランドの指輪を買ってやるつもりだった。

美麗だからハリーウィンストン辺りだろう。見栄っ張りな女の好きなジュエリーブランドだ。

しかし、美麗は俺のあげた手作りの指輪が偉くお気に入りらしく、その他のプレゼントはいらないと言われた。




そして誕生日から数日後。何故か俺は目つきの悪い猫と向き合っている。

雪のキャットタワーの上に登り女王様のような気迫を見せるのは、琴子たちの飼っている琴音猫だ。

「何だ?何か文句でもあるのか?」

「フー!」

「おいッ、俺に向かってフーとは何事だ!このクソ猫がッ」

「シャー!」

えっらそうに!!

これだから雪以外の猫は嫌いなのだ。

靴下を履いたように足元と顔の半分だけ真っ白の茶トラの猫。

生意気な事にふわふわとした長い毛で、歩くたびにふさふさの尻尾が花開くように咲き乱れるように見える。

まるでクソ生意気な女がファーコートを羽織っているような、クソ生意気な雌猫だ。



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