【完】淡い雪 キミと僕と

「ちょっと、琴音を苛めないでよね?!」

「はぁ?!何がいじめだ。こいつが俺へ威嚇してんだぞ?!」

「大輝がデカくて怖いに決まってるでしょう?!
お~…琴音~…怖かったねぇ~…」

琴子が琴音を抱き上げる。そうすると琴音は「にゃー」と甘えた声を出して、琴子の頬へすり寄る。

この猫は基本的に琴子と井上晴人にしか懐かない。


そして今日はその琴音猫と共に、琴子と井上晴人がうちへ雪に会いに来た。

そして、その井上晴人と言えば………。

「ミャーミャー」

「見て、井上さんにすっごく懐いている」

「本当人懐っこい猫だねぇ。琴音とは大違いだ。
しっかし可愛いなぁ~。雄猫もいいね~
雪~おいで~」

けッ!!!!!!!!

美麗と井上晴人は楽し気に話しながら、雪も雪で愛想良く接している。

だからつまらないと言うのだ。ムカつくな。

「わぁ!雪がお腹の上に乗った」

「そうなの、その子お腹の上に乗って眠るのが好きなの。
わたしのパパとか西城さんとか男の人のお腹が好きみたいなのよねー…」

「人懐っこい猫も可愛いなぁ~…雪ー…雪ー…」

「ミャー」

「アハハ、すっごい井上さんに懐いている。優しい人だって分かるのね」


拳がぶるぶると震えた。今にも血管がブち切れそうだった。
 
美麗は井上晴人へそれはとてもとても可愛らしい笑顔を向けている。…アンタまさかまだこいつの事好きなんじゃねぇーの?!

雪も雪で甘えた声を出して、井上晴人のお腹の上で寛いでいる。

…ほんっとお前は尻軽だ!人間とあらば誰でもいいのではないのか?!八方美人は褒め言葉ではないぞ?!



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