【完】淡い雪 キミと僕と
「じゃーね、大輝。また遊びに来るね~。
山岡さんもまた一緒に遊ぼ!今度はふたりでランチでも行こうよ~ッ。大輝の愚痴はいつでも聞くからさー」
「あら、それは楽しそう!
それにわたし、琴子さんの猫カフェにも行ってみたいの」
「いつでもおいでよ~!」
見送りの時、今日1日でえらく仲良くなったふたりが楽しそうにはしゃいでいた。
’大輝の愚痴’だと?んなもの美麗にあるわけなかろう。…けれどあいつは否定のひとつもしていなかったな。
琴子と美麗が仲良くなるのは実に結構。けれど、お前…お前だけは許さんぞ。
「雪、またね」
膝を曲げて雪の頭を撫でる井上晴人。
それに受け応えるように雪は井上晴人の手へすり寄っていっていた。
立ち上がった井上晴人は、俺よりほんの少し高い背でこちらを見下ろした。…だからそれが生意気なんだ。
「西城さんもお邪魔しました。それに北海道のお土産までありがとうございました」
「あのだっさいティーシャツね」
その横でぼそりと琴子が呟いた。
聞き逃してないぞ?覚えておけよ?
ぎろりと琴子を睨むと、彼女はそっぽを向いて口笛を鳴らす。
「来るのは勝手だが、美麗や雪に余り触るな。
特に美麗とは会社も同じようだが極力避けるように、話すな、近づくな、見るな」
「アハハ……気をつけます…」