【完】淡い雪 キミと僕と
3.美麗『やっぱりアンタムカつく』
3.美麗『やっぱりアンタムカつく』
定時に仕事を終えて、いつも通り通勤ラッシュの汗臭い電車に乗って、これまたいつも通りのコンビニ寄ろうとした時、足を止めた。
煌々と光るコンビニ店内。この時間は人の出入りが激しい。多くはわたしのような仕事帰りの一人暮らしの男女だろう。
中には入らず入り口付近で携帯を取り出し、ラインを送る。直ぐに既読が着いて、短いメッセージを受信した。
『今から帰りますけど、夕食買っていきますか?
この辺ですとコンビニかホカホカ弁の2択になりますが」
コンビニから数メートル先にホカホカ弁のオレンジ色の看板の電灯が淡く光る。
『魚の入ってる奴』
魚の入ってる奴とは?つーか’いる’って事で話は進めてよろしいんですね。
しかしとて、わたしが投げかけた質問はコンビニか、ホカホカ弁なのですが。
『魚の入っている奴とは、焼き魚でよろしいんですか?
そしてコンビニもホカホカ弁どちらにもそういった商品はあるとは思いますが
どちらがよろしいでしょうか』
また直ぐに既読マークは着き、短い返信が着た。
『そんなん自分で考えろ』
…何こいつ、マジで殴りたい。
わざわざこちらは親切で言っているというのにだ。
光熱費1万円は貰いすぎだと自覚している。くれるつーもんは貰っておくけどさ。さすがにパパ活じゃあないんだから。
昨日のようにおにぎりを取られるのは勘弁だから、わざわざ聞いてやってるつーのに。
返信は返さずに、コンビニに背を向けてホカホカ弁の看板を目指し歩き出す。