【完】淡い雪 キミと僕と
お嬢様学校に通わせてもらっていたとて、所詮は偽物のお嬢様。
本気のお金持ちの紳士淑女には敵いもしない事に気づいたのは、いつからだったのだろう。
本物のお嬢様は、きっと港区で派手に遊びまわったりはしない。
けれどわたしは、自分の力で成り上がるために、本物になれるように夜な夜な港区でハイスペックな王子様を探し続けた。
ありがたい事に顔だけは良かった物だから、港区界隈ではチヤホヤされた。わたしと付き合いたいという男も沢山いたし、プレゼントも沢山貰い美味しいご飯も食べさせてもらった。
この顔に産んでくれた事だけが両親への感謝。とばかり調子に乗って港区で遊んでいた。
しかしそこにも数々の女性たちがいた。
大手企業の事務職。丸の内OL。美人経営者。読者モデル。 様々な才能を持っていて、そして美人は吐いて捨てるほどこの世にいる事を痛感させられた。
顔だけで言ってしまえば、売れない芸能人でも目を見張るくらい美しくて
ただの読者モデルであっても驚く程スタイルの良い子だっていた。
わたしよりずっとランクの高い大学の才女だっていたし、自らだってお金を稼いでいる経営者もいた。
結局わたしはどれほど美しくても、上には上がいるって事を知らしめられる形になってしまった。
ゴールは結婚。
一般庶民とかありえない。
相手はあくまでもハイスペック高収入の男性でなければいけないのだ。
若さと美しさを売りにしていたって、それはやがて枯れ果てるものだと誰よりも理解していた。
ひとつ、歳を重ねる度に市場価値は落ちていく。
それならば、早く決めなくてはいけない。