【完】淡い雪 キミと僕と


某大手お菓子メーカー受付嬢。24歳。まだまだ焦る年齢ではないよ。と周りからは言われるけれど
わたしはかなり焦っていた。仕事だってわたしがいなくとも何とでもなる。キャリアなどない。ならば、王子様を見つけてシンデレラストーリーを、と。



そんな時だった。
あなたに出会ったのは――


友達も、皆同じレベル。
女として高いレベルでないと仲良くは出来ない。
上辺だけの関係で、互いにマウントを取り合う事しか出来なくとも、ここで生きて行くためには繋がりも大事で、上辺だけだとしても友人も大切なのだ。

その飲み会も、友達伝いで入り込んだものだった。

若きエリートや経営者ばかりが集う飲み会。奴はいつだって輪の中心にいて、どうしたって人の目を惹いてしまう容姿。そして彼自身が持っていた肩書き。


世界のリゾート施設を運営する西城グループの、一人息子。
西城大輝。27歳。
4代続くその会社の、跡取りだった。

そんな肩書に加え、すらりと伸びたモデルのような体型。そこに無駄な肉は一切ない。
切れ長で少し意地悪そうな一重瞼。通った鼻筋に、唇は少し薄くて、いつも口角が上がっている。
黒髪の短髪で、一見爽やかな印象を与えるような、恵まれた容姿を持っていた。


神様というのは全く持って不公平な生き物を作りたがる。

天は彼にどれ程の幸福を与えれば気が済むのだろうか。
人は持って生まれた物を選べないと言うが、彼はわたし達が欲しがっても欲しがっても手に入れれない、大抵の物を持ち合わせていた。

そしてそんな彼に選ばれたかった女たちは、この界隈ではごまんといるのだ。


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