【完】淡い雪 キミと僕と

街中でふと足を止めて、目に着いたイタリアンレストランでピザをテイクアウトした。

こんな時間にそんな物を食べたら太る。とあの女は目をつりあげて怒る事だろう。だからサラダも添えて

炭水化物を摂取する前に野菜を食べると太りずらいよ、と助言してもきっとあいつの事だ。そんなの知ってるわよ、とヒステリックに怒るのだ。

全く怒りっぽくて敵わん。


しかし昨日はほんの少しだけ美麗を傷つけてしまった気がする。無礼な事を言ってしまったと、少し後悔している。

気が強く我も強い女なのだが、どこか儚い所があり、笑った時に泣き顔みたいになる癖。

そして彼女の涙腺を崩壊させるこの世でただひとりの男。

井上晴人を思い出すのと同時に、俺はどんなに想っても届きはしない想い人を思い出す。
俺と美麗の間には、分かち合う物が多すぎる。同じ傷を抱えている。それが良い事か悪い事かと言えば、余り精神上よろしくはない。

だから出来るだけ、美麗とは一緒にいたくないのに。



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