【完】淡い雪 キミと僕と

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疲れていた。

ただただ疲れていた。

朝から晩まで望んでもいない仕事をこなして、かといって本音を晒せる相手も居ずに
あの頃の俺はただただ疲弊していた。



その話を隼人にしたら「少しは休んだ方がいい」と言われた。

休むといっても何をどうしていいか分からなかった。

隼人は学生時代からの友人だが、デリバリーヘルスを経営している見るからに強面のアンダーグラウンドな世界に生きる人間だった。

とはいえ生まれも育ちも決して悪くない。

両親とも医者をしている家系で、病院を経営している親の下育った隼人も学生時代から普通よりかは頭の良い男だった。

家族とはほぼ絶縁状態で、病院は兄が継ぐからいいのだ、と能天気に言ってた少しだけ破天荒な奴。

娼婦育成学校と笑って言うと

隼人は大真面目な顔をして「全ては救いきれねぇ。でも、どうしようもねぇ女たちが集まって、ほんの一部はお金の力で救われていったとしたらそれ以上の喜びはない」と言った。

女の体を売り物にして、それを仕事にして稼いでる割には情に厚くて、面倒見の良い男だった。


とにかく笑えたらいいと思った。

金を払って性欲を満たすほど女には困っちゃいねぇし、金を積めば幾らでも会員制の高級ヘルスでSSランクの女は抱く事が出来る。

リクエストはただただ楽しく話せる子、な筈だった。

しかしやってきたのは、頭が悪そうな金髪のギャルで子供かと思う程背が小さな女だった。
名はココと言う。

勿論それはお店での源氏名で、後に知る事になる本名は高橋琴子(タカハシコトコ)という名だった。





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