【完】淡い雪 キミと僕と
「あ、そうだ!あのね、名前を少し考えたんだけど」
相変わらず子猫は美麗と俺の間を行ったり来たりし、コロコロと転げまわったり、身体にまとわりついてきたり、何やら楽しそうだ。
「あぁ…俺も会議中に考えていた。
春樹とかどうだろうか、文才がある猫になりそうだ」
「いや、猫に文才って…」
「そうだなぁ。治も悪くないかもしれない。
いやいや音楽的才能を求めるならば、レノンとかもどうだ?」
「もぉ~ッ絶対真面目に考えてないでしょう!」
「なッ?!俺はいつだって大真面目だ」
「そんな偉人の名前にしなくたっていいの!猫なんだから。
それでね、雪って名前どうかなぁ~って。」
美麗は少しもじもじしながら、恥ずかしそうにその名を口にした。
「雪?スノーの雪か?」
「わざわざ英語にせんでもよろし。
何かこの子真っ白ではないけど、白にクリームの変な模様入ってるじゃない?
北海道の雪解けの雪って真っ白ではないんだって、だから雪とか~どうかなぁ~って」
北海道情報は誰からだ?とは訊かないでおくが
雪か、悪くはない。
呼びやすいし、淡くしんしんと降り積もる雪景色はとても綺麗だ。
みすぼらしい猫には大層な名前だろう。