君を愛してはいけない。
その時。


「んっ、………!」


急に、伯がベッドの手すりを掴む手に力を込めた。


そして、首をぐるりと回転させたかと思うと。



ビリビリッ……………



何かー伯の着ていたパジャマーが音を立てて破け、伯の背中から白い何かが現れてくるのが分かった。


とはいっても、その物体が明るい光を放っていて眩しすぎて肉眼では何も見る事が出来ない。


「伯っ、!?何が起こってるの、!?」


思わず声を大きくしてしまった私に続くようにして雷鳴が轟く。


「ごめん桃花、!」



そして、目の前の光の眩しさが少しずつ収まっていった気がして、私がゆっくりと目を開けるーまだ細目だーと。


「…もう時間が無い、」


目の前には、背中から巨大な白くて美しい羽を生やした彼がいた。


彼の着ていた上半身のパジャマは背中部分が大きく破れていて、もう着ても着なくてもほぼ変わらないくらいの悲惨な状況になっている。


丁度雷が光って映し出された彼の右羽は、ベッドの周りを覆うカーテンを突き破って白く神々しい光を放っている。


そして、その雷が光ると同時にこちらを見た彼の目は、今までで1番美しい青空の色で。



「………、」


キスをしてからの展開が早すぎて、頭が追いつかなくて何も言う事が出来ない。
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