腕まくりしたアナタ



私は、 轟 美愛(とどろき みお)






学校までの通学路に咲く、満開の桜の木たちを見るのは、これで2回目になる。





そして、新学期が始まる今日、私は17歳になった。





誕生日が早くて、私の誕生日を知る人は少数。





「美愛!おはよーっ!」





その少数の中の1人、並木 陽香(なみき はるか)は、私の親友。





「陽香、おはよう。相変わらず元気だね。」





物静かな私とは対照的で、とても明るくて思いやりのある優しい子。





「ん?だって新学期だし、みんなに会えるじゃん!しーかーも?今日は美愛の誕生日でしょ!?テンションも上がるに決まってるじゃーん!」





「自分の誕生日じゃないのに、なんでそんなにテンション上がるの。」





陽香のはしゃいでる様子を見て、私は隣で苦笑いをする。





「もう!美愛は逆にテンション低すぎ!華のセブンティーンだよ!?嬉しくないの!?」





「嬉しくないわけじゃないけど、別に特別なことじゃないじゃない。」





「わかってないなぁ…」なんて言った陽香は、口をつぼませながら私が持っていたミルクティーを奪った。





「あー!陽香!私のミルクティー返してよ〜!」





「華のセブンティーンを理解していない美愛には返しませーん!」





私のミルクティーを奪った陽香は、先にスタスタ歩いていってしまった。





ミルクティーを返してもらおうと、後を追うと、急に先を歩いていた陽香が止まり、こちらを向いた。





「はいっ!美愛、誕生日おめでとう!」





私へのお祝いを言った陽香は、私の大好きなコスメブランドの紙袋とファッションブランドの紙袋を差し出した。





「ありがとう。…こんなにいいの?」





「当たり前じゃない。美愛も去年の私の誕生日に沢山くれたでしょ?…それに、いつもありがとうの気持ちも込めてだから受け取ってね!」





陽香のライトブラウンの色をしたロングヘアーが心地よい春風で靡き、ぱっちりした目を細め、満遍の笑みを零した。





「…ありがとう、陽香。」





私もそれに応えるように、にっこりと笑い返した。


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