腕まくりしたアナタ
付き合って半年が経った頃。
隠していたわけではないが、言う理由もなく、周囲には私たちが付き合っていた事は伝えてはいなかった。
が、あるバスケ部の部員が私が海里さんの家に入るとこを見たらしく、翌日には学校中に私たちのことが広まっていた。
別にそのこと自体は問題ではないのだが、それを聞いた海里さんのファンたちが私のことを妬み、嫌がらせをしてきたのだ。
最初は、上履きがゴミ箱に捨てられてたり、下駄箱に悪口の書いてある紙切れが大量に入れられてたりと、そこまで酷くはなかった。
次第に嫌がらせはエスカレートしていき、春休み前は、ノートやプリントが破られていたり、体操着がめちゃくちゃに切り裂かれていた。
そこまでされると私の学校生活に支障が出るので、どうしようかと悩んでいた。
「あの時、たまたま海里さんが、美愛の体操着を切り裂いているグループを見てたんだよね〜。」
「うん。女子更衣室の扉が開けっぱなしで、声もただ漏れだったみたいだよ。」
「バカだよね〜。そもそも、美愛にそんな嫌がらせして、海里さんにバレたら元も子もないのに。」
私自体、学校生活に支障が出るからという心配はしていたものの、嫌がらせに対しては特にストレスは抱えていなかった。
くだらないと思っただけ。
でも、その現場を見てしまった海里さんが激怒し、そのグループに嫌がらせをやめるよう伝えてくれたらしい。
「海里さん、本当に男前よね。」
「いいな〜!」と羨ましがる陽香。