腕まくりしたアナタ
「陽香にも素敵な彼がいるじゃない。」
「ダメダメ!いざという時に頼りないんだもん〜。」
「ははは…」
話に盛り上がりながら、学校の校門をくぐった。
昇降口付近には、学生が賑わっていた。
きっとクラスが掲示されているのだろう。
「美愛!見に行こう!」
「そうだね。」
陽香に腕を引っ張られながら、沢山の人混みの中をすり抜けて、クラスが掲示されているボード付近まで近づいた。
(えっと私の名前は…)
A組から自分の名前を探していると、隣に誰か気配がして見てみた。すると…
「おはよう。クラス見たの?」
私の彼、海里さんが話しかけてきた。
「おはよう。ううん、今来たところで探してる。」
「そっか。もしかしたら一緒かもね、校舎。」
「美愛は特進コースでしょ?」と後付けして、私に言った。
この学校は、特進コース・進学コース・普通コースと分かれており、また、学年によって校舎が異なる。
私たちの先輩は例年よりクラス数が一つ少なく、逆に私たちが例年より1クラス多い。よって、教室数の関係で特進コースのA組は、3年生の校舎に教室が配置されるのだ。
「うん。…あ、あった。A組だ。」
A組の最後の方に、私の名前があった。
「お、じゃあ一緒にいれる時間が増えるな。」
海里さんは嬉しそうに私の頭をぽんぽんしてきた。
「うん。」
私は彼を見上げて、返事をした。