腕まくりしたアナタ
クラスに入ると、まだHRまで時間があるのもあり、そこまで生徒はいなかった。
「あ、美愛!おはよう!一緒だったんだ、嬉しいなぁ!!」
窓際の後ろにある自分の席に座ってすぐに、同じ部活のマネージャーである、細井 まどかが話しかけてきた。
「おはよう、まどか。よかった、知り合いがいて。」
陽香と離れて寂しかったため、知り合いがいて安心した私。
「私も〜!」とまどかも同じ気持ちだったらしく、胸を押さえながら言った。
「しかも席前後だよ!?やっぱ相棒だね、私ら。」
この学校は、生年月日で学籍番号が割り振られる。そして、なぜか誕生日が早い人は一番後ろなのだ。
まどかの誕生日は私の次の日なので、席も私の前ということになる。
「あ!今日の放課後に会えたら渡そうと思ってたんだけど…」
突然まどかが自分のバックの中を漁り出したので、首を傾げながら見ていると、「ハイっ!」と、私の机の上に紙袋を置いた。
「誕生日おめでとう、美愛!これからもよろしくね!」
「いいの?ありがとう!開けてもいい?」
「もちろん!」
私は貰った紙袋の中身を出して、ラッピングを剥がした。
「わぁ!可愛い!」
ラッピングの中には、小さなジュエリーボックスがあって、開けてみると、私が前からずっと欲しいと思ってたピンクゴールドの腕時計だった。
「えへへ。美愛がずっと欲しがってたからさ、それ大きいけど秒針もしっかり見えるし、大きいけど女の子にも使いやすいしね!部活の時にも模試にも役立てられるだろうと思って!」
「まどか、ありがとう!」
まどかは、親友の陽香とはまた違った、居心地の良さもあり、何より一年間ずっと一緒に部活をしているのもあり、相棒のような関係だった。