【女の事件】とし子の悲劇・2~ソドムの花嫁
第15話
その日の夜のことであった。

ところ変わって、落書きだらけのダンナの家にて…

ダンナは、ダンナの両親とアタシの両親と一緒に今後のことを話し合った。

双方がおらびあい(怒鳴り合い)をしないようにと思って、武方さんが間に入っていたが、アタシの父があつかましい声でダンナに言うたので、雰囲気が気まずくなった。

「サイアクだ!!しゅうさくはとし子にきついDVを加えた上に、せっかく就職できた済生会病院はクビになった…おまけにオドレのきょうだいもよぉがまんできん(がまんできない)性格だな…けいさくは立てこもり事件を起こしてケーサツに撃ち殺された…ゆうさくもソープの女の家に入り浸りになっている…しゅうさく!!」
「お父さま、落ち着いて…」
「あんたは横から口を挟んでくるな!!」

アタシの父は、ひと間隔をあけてからダンナにこう言うた。

「こんなことになるのだったら…家の建築費や土地の購入代金を出すのじゃなかった…オドレの両親の教育の方針が悪いからオドレはDV男になったのだ!!」

アタシの父の言葉を聞いたダンナのお母さまは、思い切りブチ切れた。

「ンマー!!どう言うことなのよ!?うちの教育の方針にケチをつける気なのね!!」
「ああ!!そうや!!オドレの教育ママが原因だ!!」
「何なのよ!!」

ダンナのお父さまは『やめろ!!』と言うて止めたのちに、こう言った。

「オラオドレ!!よくもあの時、しゅうさくの前でワシの悪口を言うた!?勉強できない、うだつが上がらない父親だとよくも言うたな!!」
「何なのよあんたは!!」
「オドレの教育ママが原因でしゅうさくがDV男になったのだ!!」
「キーッ!!何なのよ一体もう!!うだつが上がらないクソジジイに言われたくないわよ!!」
「何だと!!もういっぺん言うてみろ!!」
「ボンクラじゃなければ何だと言うのかしら!?」

この時であった。

(バリバリバリバリバリバリ…ドスーン!!ドスーン!!…ドザー!!)

家の外で、とてつもなく恐ろしい雷鳴がとどろいたあと、激しい雨が降りだ。

武方さんは、険しい表情で『ひどい雷雨だ…』と言うてから、ダンナの両親とアタシの両親にこう言うた。

「あんたらね、とし子さんとしゅうさくの今後のことを話し合うどころか…バリゾウゲンばかりを並べてばかりいるじゃないか!!どうしておだやかに話ができないのだ!?」

武方さんの言葉を聞いたダンナの両親は、口をつむじまげにしてプンとはぶてていた(ひねくれていた)。

アタシの父も、口をつむじまげにしてプンとはぶてていた。

アタシの母は、あつかましい声でダンナに言うた。

「しゅうさくさん、どうしてとし子にきついDVを加えたのよ?あなたは何がイヤだったのよ!?何が気に入らないのかしら!?…あなた…もしかして…本当は、ずっと恋こがれていたカノジョがいたのかしら!?婚約を決めていたカノジョがいたのかしら!?…はっきりと答えて!!…いかなる理由があっても、あなたがしたことは決して許されることじゃないのよ!!」
「ウルセー!!」

ダンナは、アタシの母の言葉にブチ切れた。

「オレはあの時、(好きなカノジョ)をオレと別れささせて、後輩の医師と結婚をさせたことをうらんでいる!!あんたらのせいでオレの人生が狂った!!…あんたらがいなかったら、オレは好きだったカノジョと結婚できたのだよ!!」
「何を言っているのよ!!アタシと主人は、しゅうさくさんのためを思ってカノジョと別れてと言うたのよ!!」
「てめえらがいらないことをしたから、ひとり娘が暴力の被害を受けたのだよ!!それがわかんねーのかよバーカ!!」
「しゅうさく!!」
「やめんか!!」

たまりかねたダンナの父親は、言い争いを止めたあと、つらそうな声でこう言うた。

「もういい…もう、こんな話はやめにしよう…しゅうさくは好きなカノジョとの結婚を楽しみにしていたのだよ…それをあんたらが横やりから入ってきて、別れさせた…なにがしゅうさくの幸せのためだ…ふざけるな!!…しゅうさくがこうなった原因はとし子が全部悪いのだ!!」
「なんだと!!とし子が全部悪いとはどういうわけだ!!」
「だまれ!!しゅうさくをブジョクしたあんたらをぶっ殺してやる!!」

ダンナの父親は、アタシの父親に殴りかかって行った。

ダンナの父親は、ダンナは本当は好きな人と結婚がしたかったのにアタシの両親が待ったをかけて別れさせたから許さないと怒って、アタシの父親を殴り付けた。

ダンナは、ギュウと握りこぶしを作ってワナワナと震えていた。

武方さんは『仲介を降りる!!』と怒って、その場から立ち去った。

外では、激しい雷鳴がなおもとどろいていた。

その頃であった。

アタシは、宮脇町のマンスリーマンションの部屋にいて、寝ていたけど、おそろしい雷鳴におどろいて目をさました。

たしか、深夜11時過ぎのことだったと思う。

ほがそ(ぐちゃぐちゃ)の髪の毛のアタシは、クリーム色のクラシカルレースのブラジャー・ショーツセットを着けてふとんの中で寝ていた。

アタシは、天井に吊り下げている電灯のあかりをつけて、ほがその髪の毛をくしゃくしゃとかきむしっていた。

アタシはこの最近、おそろしい夢ばかりを見るようになっていた。

たしか…

雑木林で、おそろしい覆面をかぶった男に追われている夢だったわ…

白のブラウスとスカート姿のアタシは、叫び声をあげながら雑木林を逃げていた。

雑木林を出て、河原まで逃げてきた。

けれど、覆面の男はなおもアタシを追いかけていた。

アタシが途中で倒れて気を失ったところで、目が覚めた。

アタシは、冷蔵庫を開けて500ミリリットルのアサヒスーパードライの缶を取り出して、ゴクゴクとのんでいた。

夢から覚めたアタシの気持ちは、サクラン状態になっていた。

アタシは、気を失った後のことを思い出した。

恐ろしい覆面をかぶった男は…

気を失ったアタシの身体をもてあそんで…

ヘーゼンとした表情で、アタシを恥ずかしい姿にさせて、置き去りにした…

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

恐ろしい悲鳴をあげたアタシは、冷蔵庫に入っている500ミリリットルのアサヒスーパードライの缶を全部出して、ガブガブとのみほした。

こわい…

誰か…

アタシを…

助けて…
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