【女の事件】とし子の悲劇・2~ソドムの花嫁
第19話
その頃であった。

アタシは、朝からデリヘル店にいて、デリヘルのお仕事をしていた。

夕方6時前のことであった。

アタシがクタクタになって待機部屋に帰ってきた時に、武方さんが急にやって来た。

アタシは、ターコイズのブラジャー・ショーツ姿の上に白のブラウスをはおって、鏡を見ながらコットンでメイクを落としていた。

アタシは、両親には会いたくないと言うているのに武方さんが『医大病院に行ってほしい。』と言うだけ…と言うよりも、女のコの待機部屋に武方さんが土足で上がり込んでいたので、アタシはますますキレていた。

「あんたね!!女のコの待機部屋に勝手にやって来て、居座るつもりでいるのかしら!!アタシは思い切りキレているのよ!!今すぐに帰りなさいよ!!」
「とし子さん、このままでは帰ることができないのだよ…とし子さんのお父さまがやくざが持ってたトカレフで撃たれて、生死のはざまをさまよっているのだよ…」
「そんなことなんか知らないわよ!!死にたきゃ死ねばいいのよ!!おとーさんがなんでやくざにトカレフでドタマぶち抜かれたのか…原因が分かっていないのよ!!」
「その事は、警察が捜査をしているから警察にお任せするしかないのだよ…」
「あんたはなーんにも知らないのねぇ…そのようになった原因は、ゆうさくが高知のソープの女に手ぇつけたからダンナの父親とアタシの父はトカレフでドタマぶち抜かれたのよ!!」
「とし子さん、そんなことはいいから病院に行ってあげなさい。」
「断固拒否するわよ!!」
「拒否するだと!!」
「そんなの当たり前でしょ!!アタシは、三原の実家から足が遠のいたのよ!!そんなことよりもあんたね、女のコの待機部屋に居座るのであれば店長を呼ぶわよ!!」

アタシは、武方さんに使用済みのコットンを投げつけた後、鏡に向かって顔に新しいメイクをつけていた。

9月4日深夜2時頃に、アタシの父は緊急のオペ中に容態が悪化したあと、帰らぬ人となった。
< 19 / 65 >

この作品をシェア

pagetop