【女の事件】とし子の悲劇・2~ソドムの花嫁
第53話
その日の夜のことであった。

ダンナは、残業で帰りは遅くなるので、食卓にはふじおさんとまさおさんとアタシがいた。

テーブルの上には、白ごはんとみそしるときんぴらごぼうとひじきとコロッケとサラダが置かれていた。

ふじおさんは、ひとくちも食べていなかった。

まさおさんはごちそうさまと言った後、席を立って自分の部屋に戻った。

食卓にはアタシとふじおさんだけがいた。

アタシは、ふじおさんがどんな不満を抱えているのかを聞いてみた。

「ふじおさん…ごはん食べていないね…」
「食べたくもねーんだよ!!」
「どうして?お腹がすいているのにどうして食べないの?」
「働かざるもの食うべからずだからだ!!オレが高校中退であることをとがめているのだろ!!」
「とがめていないわよ。」
「とがめているじゃないか!!オレはコネで入学をした高校を卒業しても、卒業証書は紙切れ同然だよ!!」
「だったら、高校行かなくても高卒の資格だけでも間に合わせる方法があるのよ…」
「そんなものあるわけねーよ!!」

席を立ち上がったふじおさんは、せっかく作ったごはんを流しに捨てた後、家を出ようとしていた。

「ふじおさん。」
「市内へのみにゆくから…」
「ふじおさん、待ってよ…何が不満なのか教えてよ…」

(バターン!!)

ふじおさんは、玄関のドアを思い切り叩きつけて閉めた後、家を出て行った。

ところ変わって、高知市菜園場(さえんば)町通りにある居酒屋にて…

ふじおさんは、メイテイ状態になるまで酒をのんでいた。

となりの席に、ヒサナガさんが座っていた。

この時、ふじおさんはヒサナガさんがのんでいるお酒に手ぇつけた。

「おい、何しているのだよ!?」
「何やオドレ!!オレの酒なんだよ!!」
「何や!!文句あるのか!?」
「表へ出ろ!!」

このあと、ふじおさんとヒサナガさんが露地裏でドカバキの大ゲンカを起こした。

(ゴツーン!!)

ふじおさんは、10センチブロックでヒサナガさんの頭を思い切り殴り付けた。

「ああ!!痛い!!痛い!!」
「ふざけんなよ!!そんなに妻と赤ちゃんの元に行きたいのだったら、望み通りにしてやらぁ!!」

ふじおさんは、頭に大ケガを負って倒れているヒサナガさんを殺したあと、その場から逃走した。

ふじおさんは菜園場町の現場から逃走した後、行方不明になった。

その頃であった。

南ヶ丘の家では、アタシはダンナとふじおさんの帰りを待っていた。

ダンナは深夜0時に帰宅したが、ふじおさんは家には帰ってこなかった。

アタシの不安は、さらに拡大していたので気持ちが落ち着かなくなった。

そして、次の日以降にアタシが恐れていた事件が次々と発生した。
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