【女の事件】とし子の悲劇・２～ソドムの花嫁

第55話

４月29日は、まさおさんが大学で知り合ったカノジョを家に連れてきて、アタシとダンナと一緒に過ごす予定になっていた。

しかし、ダンナは会社の人から電話で黒潮カントリークラブで開催されるゴルフコンペに来てほしいともうしわけない声で言われたので、仕方なく行くことになった。

ダンナは、疲れた表情で重いゴルフバッグを持って門の前に止まっているハイヤーのトランクにゴルフバッグを積みこんだ後、後ろの席に乗った。

お迎えに来たダンナの上司の男性は、もうしわけない声でアタシに言うた。

「奥さま、もうしわけございませんでした。」
「いえ、いいのです…あなた、いいお顔してね…気持ちよくゴルフを楽しんでね。」
「そうだよね(ダンナ)くん…お天気もいいし、最高のゴルフ日和よ…」

それからしばらくして、車は家の前を出発した。

車は、海岸線の県道を通って芸西村の黒潮カントリークラブへ向かった。

結局、まさおさんとカノジョが家で会うことについてはアタシひとりで対応をすることにした。

ダンナは急な仕事が入ったので、アタシがダンナの分も喜んであげようと思って、予定通りにまさおさんのカノジョと会うことにした。

その一方で、急な予定変更で黒潮カントリークラブにやって来たダンナは、重いゴルフバッグを背負って、敷地内にある土佐ロイヤルホテルに行った。

この時、同じ敷地内にあるチャペルでは結婚式が行われていた。

ダンナは、結婚式の様子を見ていた。

ダンナは、今日はまさおさんが大学で知り合ったカノジョと会って、あいさつをする日なのにもうしわけないことをしたと思って、顔が曇っていた。

この時から、アタシとダンナの気持ちの負担が大きくなっていた。