【女の事件】とし子の悲劇・2~ソドムの花嫁
第58話
その頃であった。

朝まで残業をしていたダンナは、ダンナは、事務の女性から家から電話があったと言う伝言が書かれているメモ用紙を受けとった。

しかし、ダンナは『後でかけるから…』と言うて、そのまま仕事を続けた。

今は、非常事態におちいってるのに…

ダンナは仕事の方が大事なのね…

お昼休みのことであった。

ダンナは、職場の敷地内にある作業員さんたちの休憩室にいた。

ダンナは、中にいたそうじのおばちゃんとこんな話をしていた。

「すみおさん…あんたはこのままでいいのかしら…」
「このままでいいのかしらって…」
「まさおさんは大学生活が楽しい楽しいと言うているのに、ふじおさんは毎日がつまらないと言うていじけているわね…それ、どういうことなのか分かっているのかしら!?」
「よく、分からない…」

煮えきらない表情を浮かべているダンナに対して、そうじのおばちゃんはあつかましい声で言うた。

「すみおさん…口出しするようで悪いけれど、ふじおさんにハローワークの職場実習を経て就職する方法をすすめようと思っているけど…」
「職場実習?」
「そうよ…あんたと奥さまの仲も悪いと聞いてはったし、この際だから家族関係を見直した方がいいわよ…」
「ハア~」
「ふじおさんの件については、アタシがハローワークに行って就職支援の申請をするけれど…かまん?」
「かまんって…おばちゃんに何ができると言うのですか?」
「すみおさん…」
「ですから…何でおばちゃんがうちのふじおのことをとやかく言うのかと言ってるのだ!?」
「言いたくもなるわよ!!あんたこの最近、仕事仕事と言うて逃げてばかりいるわよ!!」
「逃げてなんかいません!!あなたは、なんでひとの家庭のことを口出しするのだね!!不愉快!!」

ダンナは、そうじのおばちゃんを怒鳴りつけた後、休憩室から出ていった。

ダンナの無関心は、ますます高まって行くばかりであった。

やがて、取り返しのつかない非常事態に襲われるのであった。
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