Ruka~君の最期の願い~
 初めてのデートだし,瑠花には楽しんでもらいたいなと,俺は当日までじっくり考えてプランを練った。
 俺の自宅は,階段のみの五階建てマンションの三階にある1DKの部屋。いつか彼女も,この部屋に来ることがあるのだろうか? なんて気の早いことを考えながら……。

****

 ――そして,デート当日の午前十一時。
 ピンポーン,ピンポーン……♪
 俺は新宿区内に建つ一戸(いっこ)建ての森嶋家のインターフォンを押した。
 そのインターフォンはモニター付きらしく,すぐに応答があった。
「おはよう,木下先生」
「……おはよ」
 出てきた瑠花はデートらしく可愛くめかしこんでいて,いつもの制服姿とのギャップに俺はドキッとしたのを覚えている。

< 23 / 72 >

この作品をシェア

pagetop