Ruka~君の最期の願い~
「――今日,体調は大丈夫か?」
せっかくの初デートに水を差したくはなかったけれど,瑠花は脳に病を抱えている身。なので,訊かないわけにはいかなかった。
もしも彼女の具合が悪くなったら,この日のデートは中断することに決めていた。
「うん。今のところは大丈夫」
「そっか。でも,具合悪くなったらムリすんなよ。ちゃんと俺に言うこと」
「はあい!」
「よろしい。んじゃ,行こうか」
デートというよりは,遠足に行く小学生の引率みたいな気分だったけれど。俺は品川方面に向けて車を発進させた。
「――ところでさ,瑠花。君の家は母子家庭なんだって? 学校の資料で見たけど」
「……うん」
担任なんだから,知っていても当たり前なのだけれど。本人に直接訊くことではなかったなと今は思う。
もしも片親じゃなかったら,瑠花は費用なんか気にせずにもっとちゃんとした治療が受けられて,もっと生きていられたかもしれないのに。
せっかくの初デートに水を差したくはなかったけれど,瑠花は脳に病を抱えている身。なので,訊かないわけにはいかなかった。
もしも彼女の具合が悪くなったら,この日のデートは中断することに決めていた。
「うん。今のところは大丈夫」
「そっか。でも,具合悪くなったらムリすんなよ。ちゃんと俺に言うこと」
「はあい!」
「よろしい。んじゃ,行こうか」
デートというよりは,遠足に行く小学生の引率みたいな気分だったけれど。俺は品川方面に向けて車を発進させた。
「――ところでさ,瑠花。君の家は母子家庭なんだって? 学校の資料で見たけど」
「……うん」
担任なんだから,知っていても当たり前なのだけれど。本人に直接訊くことではなかったなと今は思う。
もしも片親じゃなかったら,瑠花は費用なんか気にせずにもっとちゃんとした治療が受けられて,もっと生きていられたかもしれないのに。