Ruka~君の最期の願い~
「いいけど……。どうして?」
「この子も一緒に(ひつぎ)に入れてもらおうかとも思ったんだけど,燃やしちゃうの可哀相(かわいそう)だし。この子の名前も"ルカ"だから,ケイちゃんにわたしの代わりだと思ってもらえそうだしね。だから……」
「分かった。いいよ。瑠花がいなくなったら,形見(かたみ)として大事にするよ」
 "形見"なんて悲しい言葉,俺にはつらすぎた。でも,彼女がいなくなっても"ルカ"は俺と一緒にいられる。そう思えばこそ,俺はそう答えることができた。
 そして多分,この時だ。俺も瑠花に恋しているんだと気づいたのは。
 恋の始まるきっかけは人それぞれだ。俺の場合は,彼女がいつかいなくなってしまうという喪失(そうしつ)感からだったように思う。
 それならせめて,最期の瞬間までずっと彼女の側にいたかった。何もできなくてもいいから,見守るだけでもしたかった。
 その次の瞬間,俺は瑠花のことを衝動(しょうどう)的に抱き締めていた。
「……えっ⁉ ケイちゃん,どうしたの?」
「俺も好きだよ,瑠花。好きだ」
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