Ruka~君の最期の願い~
「ケイちゃん……,それホント?」
 彼女の問いに,彼女を抱擁(ほうよう)から解放した俺は真っすぐ彼女を見つめて頷いた。
「うん。もちろん,教師としては間違ってるって分かってる。でも俺は,瑠花がいなくなる最期の最期まで側にいたい。瑠花の残された一瞬一瞬を,一緒に(いろど)っていきたい」
 俺の決意を聞いた瑠花は,涙ぐんでいた。
「ケイちゃん……,ありがと。すこく嬉しい」
 その後,彼女はしゃくり上げていた。多分嬉し泣きだったのだろう。
 最期の恋が実り,好きな相手(俺のことだ)と本当に想いが通じあったのだから,涙が出るほど嬉しかったのは間違いなかった。
 でも,(はた)から見れば,俺は女の子を泣かせる悪い男に見えなくもなかったので。
「……ほら,もう泣くなって。嬉しいんなら笑って,な?」
 もう一度瑠花を抱き締め,彼女の背中をトントン叩きながら泣きじゃくる彼女をあやすはめになった。
「うん……!」
 泣き笑いの彼女の顔も可愛かった。
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