Ruka～君の最期の願い～

「なんで今まで俺に話してくれなかった？」
「ゴメンね。まさかデート中に具合悪くなるなんて思わなくて。ケイちゃんが悲しむ顔見たくなかったから」
「ばかたれ」
「ケイちゃん？」
　泣き笑いになる瑠花の頭を，俺は軽くポンと叩いた。
「俺の知らない間に倒れられたら，余計に悲しむっつうの。話してくれたらよかったじゃん？　彼氏なんだから。これからは，何でも遠慮なく話しなさい」
「うん！」
　半分おどけながら言った俺がよっぽどおかしかったらしい。瑠花は頷いた後クスクスと笑い出した。
「よろしい。――さて，まだ時間早いけど，今日はもう帰ろうか。送ってくよ」
「ええー？」
「また具合悪くなるかもしんないのに，これ以上ムリさせられないだろ？」
　ブーイングする彼女を，俺は何とか宥(なだ)めた。