Ruka~君の最期の願い~
 少し熱が下がったかな……と感じたところで,俺はかかりつけの内科医院に行った。
「夏カゼだね」
 初老(しょろう)の男性医師から診断を受け,飲み薬を処方(しょほう)された。
 帰宅後,家に買いだめしてあったカップうどんを食べてから薬を飲み,ベッドに入って寝ていた。
 高熱に浮かされていたのか,俺は妙な夢を見ていた。

 ――夢の中で,なぜか瑠花は大人の女性になっており,どういうわけか俺の妻になっていた。
 瑠花は十八までしか生きられないと分かっていたから,俺はそれをはっきり「夢だ」と認識できたのだけれど。
「ケイちゃん,今日学校お休みしたんでしょ? 今日は思いっきりわたしに甘えていいからね……」
「うん……。悪いな――」

 ……ピンポーン,ピンポーン♪

 ――誰だよ? 夢の中でインターフォン鳴らしてるヤツは。瑠花,出てくれよ……。

 …………インターフォン!? いや,これマジで鳴ってるって!
 まだボーっとした頭のまま,俺は玄関まで歩いて行った。――すると,そこにいたのは……。
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