特殊護衛団の最強姫


「あの!どうしてそんなに強いんですか!」


「どうやったらそんなに強くなれるんですか!」


「双剣の使い方教えてください!」



リオの周りは、アドバイスを貰おうと集まってきたたくさんの団員達ですぐに溢れかえる。


リオは小さいため、すぐに姿が見えなくなってしまった。


あらら。


かわいそうに。



「あいつら、まずは仲間の心配しろよな。ったく...。」


「まあまあ。それだけ衝撃的だったんだよ。」


「フッ。無理もないな。」


「仕方ない。俺たちで起こそうか。」


「そうだね。」



俺たちは 未だにのびている第4訓練の護衛団員達に近づき、ケガの具合を見てみる。



「え?ウソだろ?」



最初のひとりに取り掛かった時、思わず声が出た。



「え?え?なんで?」


「まじか...ありえねぇ。すごすぎんだろ。」



それは他の皆も同じだったようで、顔を見合わせて驚愕の表情を浮かべている。



....護衛団員達に、ケガはひとつも無かったのだ。



強いて言うなら、致命傷となった急所への一撃だけ。


あれだけの激しい戦闘の中、リオは30人全員に確実な一撃しか与えなかったということだ。



「ぶはッ!おもしれー!相変わらずありえねぇなアイツは!!」


「本当にね。...つくづく思うよ。リオちゃんが味方で良かった。」


「確かにな!!」



ゲラゲラと楽しそうに笑うガイアにつられて、テンもクスクスと笑い始める。


しかしルーカスは、護衛団に囲まれてあたふたしているリオを、険しい顔で見つめていた。



...きっとルーカスは 俺と同じことを考えているんだろう。


16、17くらいか。


20にも満たない小さな少女がこれほどの実力を持つだなんて、一体どれほど過酷な幼少期を過ごしてきたのか。


セルジオン王家に出会う前のリオは、血を吐くような思いを何度も何度も重ねてきたのだろう。


なんて残酷な話だ。


どうすることも出来ない苦しい過去に、俺はグッと拳を握りしめる。



「ルーカス。」



やっぱり、お前も同じなんだな。


ルーカスの拳からは、赤い血がポタポタと滴り落ちている。



「リオのことは、俺達が護るぞ。」


「...ああ。」



俺たちは、改めてそう誓った。
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