特殊護衛団の最強姫
3.氷のような王子様
「おお、来たかリオ。随分と早かったな。」
ここは、玉座の間。
セルジオン王であるロイド様は、優しい声で私を出迎えてくれた。
その傍らには王妃のレイラ様もいらっしゃる。
「おはようございます。先ほどまで訓練をしていたため、このような汚れた格好での謁見をお許しください。」
「こらこら。そんな堅苦しいのはやめなさい。どれ、もっと近くにおいで。」
「はい。」
ロイド様の手招きに素直に応じ、私は玉座の前に立つ。
ロイド様は私の姿をじっと見つめて、大きな声で笑い始めた。
「ハッハッハ!汚れなどひとつも見当たらんぞ?さすがだな。君は私の誇りだよ。」
「もったいないお言葉です...。」
「こらこら。さっきも言っただろう?そんな堅苦しいのはやめなさい。私とレイラだけの時は、もっと楽に接してくれないか?」
「は、はい。」
包み込むようなその優しい雰囲気に、私は思わず頷いてしまう。
このお方はいつもこうだ。
優しくて、暖かい。
「あら?リオ、髪が少し乱れているわ。ちょっと待っていてね。」
「え?レイラ様!いい!いいですって!自分で直しますから!」
「ほーら動かない!」
「はい...。」
レイラ様はピシャリとそう言って、楽しそうに私の髪を整え始めた。
レイラ様の細い指が私の髪を撫でるのを感じながら、何だかこそばゆい気持ちになる。
私にもし父と母がいたら、こんな感じなのかな。
家族の温もりなんて知らないけれど、そんなことを考えてしまう。
ロイド様とレイラ様。
このお2人は私の恩人なのだ。
「...はい、できた!リオは女の子なんだから、いつも可愛くしていないとね。」
「ありがとうございます。」
「ふふ、どういたしまして。」