特殊護衛団の最強姫
まずいなぁ。
主君に対してなんという事をしているのだろうか。
頭の片隅ではぼんやりとそんなことを考えるけれど、1度走り出した口はもう止まらない。
王子様はほんの少しだけ目を見開いて、激昂する私を見つめている。
「私は、何があっても必ずあなたのことを護ってみせます!それだけは約束できる!だから....だから、私にあなたを護らせてください!!」
もうどうにでもなれ!!
勢いよく言い切った私は、再び敬礼の形をとって、王子様をキッと睨むように見つめ返す。
それからどれだけの沈黙が流れたのだろうか。
ただひたすら見つめ合う時間に耐えていると、王子様は突然私から視線を外した。
「フッ....変なやつ。勝手にしろ。」
そして、微かに笑ったのだ。
え...ウソでしょ!?
思わぬ反応に拍子抜けしてしまい、ぽかんと口を開けたまま固まる私。
王子様って笑えたんだ。
じゃなくて!!
私、一応は認めてもらえたってことだよね...?
「ありがとうございます!!」
「うるさい。」
王子様は、さっきの微かな笑みが嘘だったかのように 無表情に戻って書類仕事を再開してしまった。
それでも、じわじわと喜びが湧き上がってくる。
良かった。
今はまだこの距離でいい。
これから頑張って仲良くなるぞ!
そう決意して、私の護衛騎士生活は始まった。