特殊護衛団の最強姫
窓から入る風に 金の髪がサラサラと揺れている。
本当にきれいだ。
見るたびにそう思う。
「おはようございます、王子様。今日もお変わりないですか?」
「ああ。」
「今日はとても天気が良いですよ。」
「そうか。」
「それはなんの書類ですか?」
「お前には関係ないものだ。」
しつこく話しかける私に、王子様は1度も視線を向けようとしない。
実はこれ、いつものことだ。
完全なる一方通行の会話。
いや、もはや会話ではない。
私はなんとか王子様に近づこうとするけれど、未だに全くと言っていいほど進歩がなかった。
王子様からすれば、ただの護衛が用もないのに部屋に入ってきてこんなに話しかけてくるなんて、違和感でしかないだろうに。
なんで何も言ってこないの!?
私ただの変な人じゃん!
どれだけ話しかけても、王子様は一言でそれを終わらせてしまう。
それなのに、怒ったり無視したりはしないのだ。
完全なる無。
私に対して、なんの興味も持っていないとでも言うように。
これは、食事を運んでくる使用人や他の騎士に対しても同じらしい。
同じと言っても、こんなにしつこく話しかけているのは私くらいだけど。
他の人は、王子様の冷たい雰囲気を怖がって近づこうとしないのだ。