特殊護衛団の最強姫
はあ。
前途多難だな。
それにしても、王子様はずっと書類に向かってるけど何してるんだろう。
ちょっと気になる。
私が来ても隠さないってことは機密事項って訳でもなさそうだし...いいよね?
王子様が何も言ってこないのをいい事に、私はそっと手元を覗き込んでみる。
そこには、国民から寄せられた膨大な数の意見書があった。
意見書とは、言ってしまえばクレームの嵐だ。
大臣ですらあまり読みたがらないこれを王子様が直々に読むなんて。
すごいなぁ。
って...ん?
まさかと思いながら、私はその意見書を凝視する。
「えっ....!?」
思わず声を出してしまったのも、仕方なかった。
意見書には、1枚1枚丁寧に返事が添えられてあったのだ。
ウソでしょ、これ、王子様が...!?
「おい。何を見ている。」
「...ハッ!すいません!」
初めて王子様から話しかけてもらえた!
...じゃなくて!!
「王子様、なぜわざわざ王子様がこのような事を...?」
「国民からの意見を聞き入れるのは王族の大切な仕事だからだ。」
王子様は、さも当たり前かのようにキッパリ言いきる。
...なんだ、そうだったんだ。
王子様は、他人に興味の無い氷みたいな人かと思ってたけど...全然違う。
この人は、誰よりも国民のことを大切に思っている立派な王子だ。