特殊護衛団の最強姫
よりによってこんな危険な時に...!!
信頼されていないのは分かっていたけれど、ここまでとは思ってもいなかった。
いや、そんなの言い訳だ。
専属護衛騎士でありながら、王子様に1人で外出するという決断をさせてしまった自分にひどく腹が立つ。
しかし、こんなところで反省会をしている暇はない。
いつどこで魔物が暴れ出すか分からないからだ。
「無事でいてください...!」
開け放たれていた窓から部屋を飛び出し、私は全速力で街に向かう。
しかし今日は休日。
街はたくさんの人で賑わっていたため、王子様を見つけ出すのは困難を極めた。
「はあ....はあ....はあ....。」
特殊護衛団の証である白い団服を着た女が息を切らしている様を、街の人々は訝しげに眺めている。
特殊護衛団に女が所属している事はあまり知られていない情報であるため、無理もないだろう。
しかし私は今そんなことを気にしている場合ではない。
一刻も早く王子様を見つけないと....!
「....よし。」
まずは、深く深呼吸。
大丈夫。
私の五感は常人より遥かに優れている。
神経を研ぎ澄ませ、王子様の気配を探っていく。
「......見つけた!!!」
ここから少し離れた、山に近い平野だ。
多少入り組んだその場所に王子様はいる。
私は再び全力で走り出した。