特殊護衛団の最強姫


「分かった、分かったから!それやめてください!」



毎回毎回、私は犬か!


さっさとしろ、と目で訴えてくるルーカスさんは、きっと私を女の子だと思っていない。


まあ、変に騒がれるよりはよっぽどいいんだけど。


乱れた団服をパパッと整え、私はロキさんの隣に立つ。


目の前には何百人もの護衛団の団員達。



「すげぇ...。特殊護衛団の騎士が5人全員揃っているところを見られるなんて...。」



誰かが そんな感嘆の声を漏らしたのが聞こえてきた。



.....そう。


私を含むこの5人が、セルジオン王国が誇る特殊護衛団の騎士なのだ。



右端にいるのが、テン・グラス。


華奢な体にクリクリの大きな目。


身長は私と同じくらいでとても騎士のようには見えない可愛らしい男の子だけど、実は医療のスペシャリスト。


常に危険と隣り合わせの私達の命を救ってくれる大切な存在だ。



その隣が、ガイア・ドーラン。


筋肉質な大きな体が特徴的な彼は、この王国随一の怪力の持ち主。


赤い短髪が良く似合う太陽のような人だ。



その隣、真ん中にいるのが、我らが騎士団長ルーカス・ブランドル。


常に冷静沈着でクールな彼は、まだ若いのに特殊護衛団の騎士団長を任された天才剣士。


ゆえに、王からの信頼も厚い。


驚くほどの美形でさぞかしモテるのだろうと思いきや、雰囲気が恐ろしすぎて誰も近寄ることが出来ないという可哀想な人だ。



その隣が、ロキ・エルラット。


光にあたるとキラキラ輝く美しい茶色の髪が印象的な彼は、特殊護衛団の副団長。


いつも優しいお兄さんのような存在だけど、怒ったら誰よりも怖い。


剣の扱いも上手なのだが、彼は弓矢の天才だ。


狙った獲物は必ず仕留めるというかなりの実力者。



そして、その隣が私、リオ。


腰まであるふわふわな琥珀色の髪に、パッチリとした目。


多少容姿に恵まれているという自覚はあるが、そんなものはどうだっていい。


幼くして家族を失った私を救ってくれたセルジオン王家に恩を返すため、私は特殊護衛団の一員となったのだ。

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