先輩、私だけに赤く染まって

またこれだ。先輩ってば私の言うこと信用してない。


「本気です本気!絶対ですよ!」


やった。次の約束ゲット。


先輩と学校以外の場所に行けるってこと?


嬉しすぎて笑いが止まらない。


先輩はそんな私の様子を大人びた笑顔で見守っていた。


私の視線は先輩に夢中で。


隣を歩く先輩しか見ていなかったから。


声を掛けられるまでその存在に気付かなかった。


「穂乃果」


この幸せの絶頂から、あっという間に心が凍らされる。


また、私の家の前で待っていた和樹。


私の顔からは笑顔が消え、歩みも止まってしまう。


隣の先輩だけが、何事かと不安そうにしていた。


何でよりによって今日なの。

< 101 / 317 >

この作品をシェア

pagetop