先輩、私だけに赤く染まって
またこれだ。先輩ってば私の言うこと信用してない。
「本気です本気!絶対ですよ!」
やった。次の約束ゲット。
先輩と学校以外の場所に行けるってこと?
嬉しすぎて笑いが止まらない。
先輩はそんな私の様子を大人びた笑顔で見守っていた。
私の視線は先輩に夢中で。
隣を歩く先輩しか見ていなかったから。
声を掛けられるまでその存在に気付かなかった。
「穂乃果」
この幸せの絶頂から、あっという間に心が凍らされる。
また、私の家の前で待っていた和樹。
私の顔からは笑顔が消え、歩みも止まってしまう。
隣の先輩だけが、何事かと不安そうにしていた。
何でよりによって今日なの。