先輩、私だけに赤く染まって

「離してあげて」


先輩、修羅場とか慣れてなさそうなのに私を庇ってくれた。


「アンタに関係ないだろ。俺は穂乃果と話がしたいんだ」


和樹がどんどん苛立ってきてるのが分かる。


背の高さはそんなに変わらなくても体格は和樹の方が圧倒的に良い。


いくら中学のときにバスケ部だったとしてももう三年も前の話だ。


和樹は現役。万が一喧嘩なんてことになったら先輩に分はない。


「でも杉野さんは話したくなさそうだから」


それでも私の為にその手を譲らない先輩に、こんなときなのに泣きそうになる。


「だからアンタには聞いてない。なんなの、穂乃果のこと好きなわけ?だったら止めた方がいいっすよ、コイツ…」


ちょっと待って。何を言う気なの。

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