先輩、私だけに赤く染まって
「やめて!分かった、和樹と行く」
ヒートアップして和樹が全部を言い切る前に叫んだ。
私が彼にどう思われているかは知ってる。
先輩の前で暴露されるより和樹と行った方が良いに決まってる。
だけど先輩は、それを許さなかった。
「ダメだよ、行かせられない」
メガネの奥のその瞳が、私を見据える。
どうしてそこまでして、こんなに面倒なことに踏み入ってくれるんですか。
せっかくの決心が揺らいでしまいそうだ。
「本当は行きたくないんでしょ?」
そう言って私を自分の背中に隠した。
「君も、今彼女を無理やり連れて行ったら後で後悔するよ。こんなこと、望んでない筈だ」