先輩、私だけに赤く染まって
「あの子の代わりに君が謝るの、ムカつくんだけど」
ボソッと呟いた先輩の言葉は、私にはよく伝わらなかった。
首を傾げる私に先輩はちょっと怒ったような口調で話題を変える。
「今までもあんなことあったの?」
「いえ、今日が特別しつこかっただけです」
私の言葉に先輩は深いため息をつく。
「ホイホイついて行こうとしないでよ」
それはだって。和樹と先輩をあれ以上同じ場に居させたくなかったから。
ああ言うしか選択肢はなかったんだ。
「ただでさえ君、考えなしの言動が多いんだから」
呆れるように言われたそれに、私は素直に謝ることが出来ない。
「何ですか、考えなしの言動って」