先輩、私だけに赤く染まって
和樹が顔を近付けてくるとどうしても顔を背けてしまって。
頑張って受け入れようとしたら、悲しそうに微笑んだ和樹はそれからキスをしようとはしなくなった。
「どうしたらいいか分からなくて、友達に相談して。キスが出来なくても、和樹は変わらず優しく接してくれました」
多少ぎこちなくはあったかもしれないけど、ただ毎日登下校の時間を一緒に過ごす、正に健全なお付き合いをしていた。
中学のとき一番仲が良かった香織にいつも相談相手になってもらって。
無理に頑張らなくて良いと思うって言ってくれて随分気が楽になったのを覚えている。
「そして少し期間が過ぎて、和樹も大丈夫だろうと思ったんだと思います。家に二人でいたときに、もう一度キスをされそうになって」