先輩、私だけに赤く染まって
やっぱり知らない人か。
「ふーん、まあいいや。私のことを知ってるなら陸上部でしょ」
今までにもそう言った人から話しかけられたことがあるのか、さして今回のことが特別というわけではなさそうだった。
これ以上あの少年について会話の広げようがないので、すぐに違う話題に移った私たち。
「じゃあまた明日ね」
十分オフを満喫した涼子は笑顔を見せて駅のホームに入って行った。
家に帰る頃には重かった生クリームもすっかり忘れて、夕ご飯を普通に食べてしまったのだった。