先輩、私だけに赤く染まって
決着
◇◇
先輩とはあの放課後の日以来、話していなかった。
なんとなく、私からメッセージを送ることも出来なくて。
それなのに先輩のことばかり気になってしまって辛い数日間を過ごしていた。
当たり前のように先輩から連絡は来ない。
それが寂しい気持ちに拍車をかけていた。
一度、渡り廊下から下の階にいる先輩を見かけたけど、私に気付くことはなかった。
これまでも先輩と会わない日が続いたことなんて、いくらでもあったけど、
和樹のことがあったからなのか、段違いに気持ちが燻っている。
「穂乃果、大丈夫?なんか顔暗いけど」
部活に行く前の涼子が話しかける。
「ん、ごめん何でもない。今日も頑張ってね!」