先輩、私だけに赤く染まって
先輩に会えなくて寂しいだなんて言ったら笑われちゃうだろうな。
明るく笑った私を見て、安心したように涼子は部活に走って行った。
「…私も帰ろう」
どうせ教室にいたってやることないしな。
誰に言うわけでもなく声に出して椅子から立ち上がる。
そして。
決戦の時は突然やって来た。
校門をくぐったそのとき。
視界の右端に門に背もたれた人影が見えた。
私が右手を向いたのと同時にその人も顔を上げる。
もう一度話すべきだとは思っていたけど、流石にそのときが来ると身体が強張る。
それにまさか学校に来るとは思っていなかった。
「ごめん、学校まで来て」
あのとき振りの和樹が私に向き合う。