先輩、私だけに赤く染まって
「杉野さん、行ってらっしゃい」
絶対本心では素直に応援していないんだろうな。声色で分かる。
だけど最後は私の背中を押してくれた。
私は先輩の言葉を耳に残して、和樹の元へ戻った。
「じゃあ…駅前の、ファミレスで話そう」
先輩の言い付け通り、人がいる場所を指定する。
それに和樹は怪訝な顔をした。
「は?なんでわざわざ逆方向に行くんだよ」
仕方ないじゃない。私たちの家の方向は完全に住宅街で、お店なんてないんだから。
「そこじゃないと和樹とは話せない」
「またあの男に言われたんだろ。…分かったよ、それで話してくれるなら」
私が譲る気がないと分かったのか、駅に向かって歩き始めた。