先輩、私だけに赤く染まって

こういう世界もあるんだって、男の人と付き合ったのが初めてだった私は毎日楽しくて。


幼馴染として一緒に帰っていたときとは違う、ちょっと照れ臭い気持ちと、ドキドキ。


あれはやっぱり、恋だったんじゃないかと思う。


「俺が穂乃果を疑って、沢山責めて、物凄く傷付けたよな。穂乃果の好きって気持ちを信じ切れなかった俺が悪い」


真剣な顔でそう話す和樹は、あのときとはまるで違って見えた。


「あのとき、穂乃果との関係に悩んでいた俺に香織が相談に乗ってくれたんだ。話を聞けば聞くほど俺は冷静に考えられなくなって、香織の言うことを全部信じてしまった」


私から相談を受けていた香織が、和樹を言いくるめるのは簡単だっただろう。


和樹とそういうことになったタイミングとか、全て知っているのだから。


上手いように何とでも言えるはずだ。


「私のこと、信じてほしかった」


私と目を合わせているのに耐えられなくなった和樹は目線を下げた。