先輩、私だけに赤く染まって
「…そうだよな、だけど俺は弱かったから。穂乃果が他の男とキスしてるって想像しただけで耐えられなかった」
騙されていたとしても、第三者の言葉で簡単に崩れてしまうのなら私たちは付き合っている間、何を築けていたのだろうか。
信頼関係も何もなかった。おままごとみたいな淡い恋。
「この間のこともごめん、穂乃果があの先輩と楽しそうにしてるの見てムカついて、穂乃果が止めてくれなかったらまた俺は間違いを犯してしまうところだった」
和樹が私の浮気のことを口走りそうになったから私は慌てて遮ったんだ。
その時にはもう浮気についての誤解は解けていたはずなのに。
「和樹、私はあのときより強くなった。香織のことも、和樹のことも乗り越えられそうなの」