先輩、私だけに赤く染まって
でも先輩はそんな素振り全くなくて、普通に会話を投げかけてくれた。
もう夕日も沈みかけていて、私たちの影が濃く浮かんだ。
影越しに先輩の身長が高いことを知る。
歩く速さに差が出ないのは、きっと私に合わせてくれてるんだろうな。
そういう気遣いは出来るのに、カッコいいとは言われ慣れてないんだ。
私だけがあんな一面を知っている気がして、ついニヤけてしまう。
「杉野さんは電車通学?」
「家が近いので、歩きです」
「そっか、俺駅だから。お疲れ様」
ここでお別れか。ちょっぴり寂しい、かも。
先輩は私とは逆方向に歩いていく。
少しだけその後ろ姿を見送って、私も歩き出した。