先輩、私だけに赤く染まって
「君はいつも突飛な要求してくるよね」
忌々しげな先輩のそれに反論する言葉もない。
一つ言い訳をするなら、そのときには理性が糸が切れてしまっているから制御出来ないんだ。
そしてそんなことを思わせているのは先輩だ。
「でも抱き締めてくれたのは先輩です」
反論出来ないとか思っておいて、つい口をついて出る。
「それはっ……、ごめん」
勢いよく言葉を返したと思ったら、みるみる険しげな表情に変わり、最後には黙ってしまった。
分からない。先輩の心の内が分からない。
抱き締められたとき、先輩が私に伝えた熱は確かに友情だけじゃなかった気がするのに。
どうしていなくなってしまうの。何をそんなに怯えているの。