先輩、私だけに赤く染まって

「いいよ。洗濯したら落ちるでしょ」


口紅よりかは落ちやすいと思うけど…。


というかコレを付けたまま帰らせたくない。


大分色は薄くなったものの、微かにピンク色が残っている。


そんなに目立つものではないけど。


「ホントすみません…色々」


色んな意味のこもった謝罪。


和樹のこと、抱き締めてって困らせたこと、今のリップのこととか。


「全然。ヤンチャな妹が出来たみたいで楽しいよ」


何気ない先輩の一言に胸が騒つく。


ああ、妹か。


やっぱり先輩の中で私は恋愛対象じゃないのかな。


だったらどうして抱き締めなんてしたの。


妹なんかに惑わすような瞳見せないでよ。


魔性の女ならず、魔性の男だ。

< 160 / 317 >

この作品をシェア

pagetop