先輩、私だけに赤く染まって
「いいよ。洗濯したら落ちるでしょ」
口紅よりかは落ちやすいと思うけど…。
というかコレを付けたまま帰らせたくない。
大分色は薄くなったものの、微かにピンク色が残っている。
そんなに目立つものではないけど。
「ホントすみません…色々」
色んな意味のこもった謝罪。
和樹のこと、抱き締めてって困らせたこと、今のリップのこととか。
「全然。ヤンチャな妹が出来たみたいで楽しいよ」
何気ない先輩の一言に胸が騒つく。
ああ、妹か。
やっぱり先輩の中で私は恋愛対象じゃないのかな。
だったらどうして抱き締めなんてしたの。
妹なんかに惑わすような瞳見せないでよ。
魔性の女ならず、魔性の男だ。