先輩、私だけに赤く染まって
「あれから彼女と話したの?」
「会いに行ったら彼女と男が並んで歩いてるのを見ちゃってさ」
まるでこの間の私と和樹だ。
偶然にも同じ時期に自分と似た境遇にいる村田くんの話は私も気になるところだった。
「その二人の様子を見たら、アイツの世界に俺はいらないって気付いたっていうか。二人の仲は誰にも壊せないって思ってしまったんだよなぁ」
それほどまで、二人がお似合いだったということだろうか?
元々付き合っていた村田くんが、そう腑に落ちてしまうほど。
「…そっか」
「だからさ、杉野のこと本当に応援してるから。俺の分まで頑張ってよ」
そう言った村田くんは力無く笑った。