先輩、私だけに赤く染まって
「じゃあまた明日」
村田くんは駅の方に歩いて行った。
今日は涼子と待ち合わせているから、校門の前で携帯を取り出す。
終わったよとメッセージを送ると、すぐに既読が付いて今行くと返信が来た。
思ったより部活早く終わったんだ。
数分待っていると、涼子が走ってくるのが見えた。
「お疲れ」
制汗剤の爽やかな匂いが風でなびく。
「図書当番、結構長いね。穂乃果にとって苦痛じゃない?」
駅に向かって歩き始めると、涼子は笑いながらそう言った。
私が去年までは毎日放課と同時に帰っていたのを知っているから。
週一とは言え、確かに最初は嫌で仕方なかった。
「今はそんなに。村田くんとめっちゃ仲良くなったし」