先輩、私だけに赤く染まって
気付けば一時間はそこにいて、さすがに店を出ようということになり、トレイを片付ける。
ポテトフライって食べているときはあんなに幸せなのに食べ終わった後の罪悪感が半端ない。
夏までに痩せないとな。
とりあえず駅に向かって歩いていると、隣を
歩いていた涼子が急に私の腕を掴んだ。
その急なことに反動で体が持っていかれる。
「わっ!なに…」
思わず声が出ると涼子は自分の口に人差し指を添えて私に黙れと訴えた。
その涼子の目はある一点に注がれている。
腕を引っ張ったまま、木の影まで連れて行かれる。
一体何があったんだか、私にはまだ分からない。
「見て、あそこに稲原先輩がいるの」
涼子は小声で言った。稲原先輩なら別にここまで逃げなくたって良かったんじゃないか。