先輩、私だけに赤く染まって

散って咲く



◇◇


翌日。私は昨日思い立った通り、図書室を訪れていた。


図書室の、ガラス張りの扉からさり気なく中を窺う。


先輩はカウンターではなく、大きな机がある方に座ってなにやら作業をしていた。


お邪魔していいものか少し迷ったけど、とりあえず声をかけてみよう。


そろーっと静かに、一直線に先輩の元へ歩く。


「こんにちは」


静かな図書室だからなるべく小さめな声で言ったのに、こちらを振り向いた先輩は驚いた顔をした。


何の約束も無しに急に来たんだからそうなるか。


それとも一昨日のことがあって気まずい、とか思ってるのかな?


「杉野さん?どうしたの、急に」


それでも返事をする頃にはいつもの表情に戻っていた。

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